刑事拘禁と死刑制度は日本の最重要課題である

27/07/2017
Communiqué
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パリ,東京:FIDHとその団体会員であるCPRは,国連自由権規約委員会は刑事拘禁や死刑を日本の人権状況審査の重要な問題として取り上げるべきであると述べた。

「日本が死刑制度を維持しているということや被拘禁者に対する処遇が国際基準を満たしていないという事実は,現代的で発展した民主国家というイメージと大きくかけ離れている。死刑制度や刑事拘禁は市民的政治的権利に関する日本の審査の最重要課題とされなければならない。」

ディミトリス・クリストプラス氏(FIDH代表)

2017年7月24日,FIDHとCPRは,簡易報告手続(Simplified Reporting Procedure)に基づいた日本の審査に際して,国連自由権規約委員会に事前質問事項(List of Issues Prior to Reporting)採択のための情報を共同で提出した。国連自由権規約委員会は自由権規約に基づいた加盟国の法的義務の履行状況を監視している。

国連自由権規約委員会への共同提出に際し,FIDHとCPRは被拘禁者の処遇に関して多くの懸念を示した。具体的には,2012年の時点で10年以上の間独居拘禁に置かれている被拘禁者の数は21名であったところ,2016年には32名となっており,長期にわたり独居拘禁に置かれている被拘禁者の数が増加しているという点である。加えて,無期懲役囚には引き続き仮釈放の機会がほとんど与えられていない。2013年から2015年の間,仮釈放された無期懲役囚の数はわずか17名であった。この間,36名の無期懲役囚が獄死しており,仮釈放された者の2倍以上の者が獄中で死亡していることが分かる。

刑事施設の医療は依然として不適切なままである。矯正医官の数は今なお不充分と言わざるを得ず,5分の1の刑事施設において矯正医官の数が定員に達していない。未決拘禁者はしばしば代用監獄制度の結果,適切な医療を受けることが困難となっている。代用監獄制度とは,警察の留置施設を法務省管轄の刑事施設の代用として使用することを認める制度のことである。未決拘禁者が警察の留置施設から拘置所に移送されると,未決拘禁者は留置施設で処方された薬をすべて放棄することを要求される。その結果,移送から数日間,未決拘禁者は必要な薬の摂取が妨げられるのである。

死刑制度に関して,FIDHとCPRは,死刑対象犯罪の限定(19の犯罪において死刑が法定刑に含まれている)や死刑判決に対する必要的上訴制度の導入について何の進展もないことを遺憾に思う。裁判員裁判では職業裁判官による裁判と比較してより高い確率で死刑判決が下されていることからすると,裁判員裁判制度導入以降,これらふたつの制度改革は早急に取り組まれる必要がある。
FIDHとCPRは,死刑執行の日時について事前の通告がないことについても懸念を示している。FIDHとCPRは日本政府に対し,すべての死刑執行を停止するとともに,現在の執行方法を見直すための必要な措置をとることを繰り返し求める。

「国連はこれまで国際基準を満たさない刑事拘禁の状況や死刑制度の在り方を繰り返し批判してきた。過去の勧告を履行することは日本政府にとって,国際人権法上の義務を履行していることを国連の報告審査に先立ち示す重要な機会であると言える。」

田鎖麻衣子氏(CPR事務局長)

プレス窓口
FIDH: Mr. Andrea Giorgetta (英語)Tel: +66886117722(バンコク)
CPR: 大野鉄平(英語,日本語)Tel:+818010025453(東京)|

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