日本:国連機関は死刑確定者の置かれる状況を非難し、死刑廃止に向けて前進することを要求

09/11/2022
Communiqué
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(パリ、東京) FIDH及び監獄人権センター(CPR)は、日本の死刑制度と刑事拘禁に関して、国連の主要な人権機関による調査結果と勧告を歓迎する。

勧告及び所見は、2022年10月13日及び14日にスイスのジュネーブで開催された、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に基づく第7回日本政府定期報告書の審査を受け、国連自由権規約委員会が発表した最終見解に記載されている。 自由権規約委員会は、自由権規約の締約国が同規約の規定を遵守しているかどうかを監視している。

「日本政府が死刑廃止に向けた前進を長期にわたり怠ってきたことは、日本の人権の歴史における大きな汚点である。日本政府は国連の勧告を聞き入れ、死刑がこの国の過去のものとなるような措置をとるべきである」

アディルール・ラーマン・カーン FIDH事務局長

自由権規約委員会は、日本政府が死刑廃止や死刑が適用される犯罪を制限するための措置をとっていないことを遺憾であるとした。また、19の死刑犯罪のうちいくつかが "最も重大な犯罪 "の基準を満たしていないことに懸念を表明した。10月14日の閉会挨拶で、自由権規約委員会議長は死刑廃止の問題について政府の立場が「全く」変わっていないように見えることを「残念だ」と述べた。

自由権規約委員会は、死刑確定者の再審請求が係属しいる間に死刑が執行されたという報告に「深い懸念」を示した。また、死刑確定者の精神状態を審査する独立したメカニズムや、強制上訴制度が存在しないことについて懸念を表明した。また、死刑確定者が長期の独居拘禁に付され、なかには40年間独居拘禁に付された例があることや、24時間にわたるビデオ監視など、死刑確定者が常時さらされている状況も懸念事項として取り上げた。

受刑者の処遇に関して自由権規約委員会は、長時間の独居房の使用、受刑者が適切な医療サービスを受けられないこと、弁護士へのアクセスや家族との接触などの手続上の保障が否定されていることを批判した。また、矯正施設におけるLGBT受刑者の公正な扱いを確保するため、トランスジェンダーの受刑者に対する一般的な処遇として独居拘禁が使用されないよう、「性同一性障害等を有する被収容者の処遇指針について(通知)」(平成23.6.1矯成3212矯正局成人矯正課長・矯正医療管理官通知 改正平成27.10矯成2631)を見直すなど必要な措置を講じるよう勧告した。

今回の自由権規約委員会の総括所見には、FIDHとCPRが日本政府審査のために提出した報告書の内容が多く反映されている。そして両団体は、2022年8月、日本における死刑確定者の独居監禁と侵襲的なビデオ監視の使用に抗議する声明を公表している。

「日本政府は、死刑執行に直面する人々を単なる監視対象として扱うことをやめるべきだ。死刑確定者には人権があり、国際基準や国際人権法の下での日本の義務に従って扱われるべきである。」

大野鉄平 監獄人権センター事務局長

FIDHとCPRは、日本政府に対し、死刑と刑事拘禁に関して、自由権規約委員会の勧告の実施に向けた措置をとるよう要請する。勧告には次の内容が含まれる。死刑執行のモラトリアムを確立すること、死刑が適用される犯罪の数を減らすこと、死刑確定者が残虐、非人道的または品位を傷つける取り扱いや刑罰を受けないようにすること、死刑確定者を長期の独居拘禁に付すことや24時間のビデオ監視を控えること、死刑判決に対する強制上訴制度を確立すること、死刑確定者の精神状態を審査する独立した機構の創設、再審請求中の死刑確定者と再審請求弁護人との接見の秘密を保障すること、死刑廃止を目的とする第2選択議定書に加入することなどである。

またFIDHとCPRは、日本政府に対し、死刑の完全廃止を視野に入れ、世界的な死刑のモラトリアムを確立するための2年に1度の国連総会決議に賛成票を投じるよう求める。同決議は来月国連総会で採択される予定である。

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