差し迫る死刑執行についての公開書簡

23/07/2018
Lettre ouverte
en ja

法務大臣 上川陽子 殿

パリ, 2018年7月19日

差し迫る死刑執行についての公開書簡

親愛なる上川法務大臣殿,

FIDH (国際人権連盟、International Federation for Human Rights) 及びその加盟団体である監獄人権センター(CPR) は、貴殿に対し、オウム真理教の元信者である端本悟、広瀬健一、豊田亨、小池泰男、横山真人、宮前一明の6名の死刑確定者を含む、すべての死刑確定者に対する死刑を止めるよう求め、この書簡を送ります。
上記6名のうち、4名は再審請求事件が裁判所に係属中であると理解しています。いまだ再審請求中の者の死刑を執行することは、恩赦あるいは減刑に関する上訴若しくはその他の訴えの手続が行われている間は死刑の執行はなされるべきではないと定める、国連の死刑に直面する者の権利の保護を保障するセーフガードに違反します。

また我々は、2018年7月6日にオウム真理教の元幹部である松本智津夫、土谷正実、遠藤誠一、井上嘉浩、新實智光、中川智正、早川紀代秀の各死刑確定者が東京、大阪、広島、福岡で死刑を執行されたことへの失望を表明します。この7名のうち6名は再審請求中であり、また、1名は精神障害であった可能性があります。
世界死刑廃止連盟(WCADP)の加盟団体であるFIDHおよびCPRは、すべての犯罪に対する、いかなる状況における死刑にも、強く反対することを繰り返し表明します。

今回の死刑執行、そして将来におけるいかなる死刑執行も、国連自由権規約委員会が死刑の使用について、日本に繰り返してきた勧告の不履行を示すものです。

2008年10月30日、自由権規約委員会は、第5回日本政府報告書審査の総括所見において、日本政府に対し、精神障害者の執行に関して“より人道的なアプローチ”をとり、再審請求や恩赦には死刑執行を停止する効果を確保するよう勧告しました。 [1] 2014年8月20日には、第6回日本政府報告書審査の総括所見において、同委員会は、日本政府に対し、死刑事件における“義務的でかつ効果的な再審査の制度”を確立し、死刑確定者の精神状態を審査する独立したメカニズムを実現するよう勧告しました。 [2]

加えて、日本は、自由権規約の締約国として、死刑は、権限のある裁判所が言渡した最終的な判断によってのみ執行することができると規定する規約6条2項を遵守する法的義務を負っています。

日本は、国連人権理事会の理事国として、人権の促進と保護において最も厳格な基準を保持する義務を負っています。 [3] また、2011年に理事国として選出されるに先立って日本が行った誓約において、日本政府は自由権規約委員会による勧告をフォローアップすることをも約束しました。 [4]

遺憾なことに、日本政府は、死刑に関する勧告を履行するための、また、みずからの国際社会に対する誓約を守るための、何らの方策をもとることがありませんでした。それどころか、日本政府は死刑執行を継続することを選択してきました。こうした動きは、現在自由権規約委員会によって行われている自由権規約のもとでの第7回日本政府報告書審査手続の結果にも、負の影響を与える可能性があります。

FIDHとCPRは日本政府に対し、以下の方策をとるよう求めます。

1.すべての死刑の執行をただちに停止し、公式な死刑モラトリアムを宣言すること。
2.死刑確定者の精神状態を審査する独立したメカニズムを確立すること。
3.死刑事件における義務的であり、かつ、効果的な再審査の制度を確立して再審請求ないし恩赦の出願に死刑執行停止効果をもたせ、また、死刑確定者とその再審請求に関する弁護士とのすべての面会に厳格な秘密性を保証すること。
4.国連自由権規約委員会が第5回及び第6回の日本政府報告書審査において行った死刑の使用に関するすべての勧告を履行すること。
5.死刑廃止を目指して、自由権規約の第二選択議定書に署名し、かつこれを批准すること。
6.2018年12月の第73回国連総会において、世界的な死刑執行モラトリアムを求める決議に賛成票を投じること。

我々は、大臣とともに、この問題に取り組む機会をもつことを歓迎します。
この重要な問題に関心を払っていただき、感謝いたします。

敬具
ディミトリス・クリストプロス
FIDH代表

田鎖麻衣子
CPR事務局長

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